マラジャボルネオ
マレーシアコタキナバルから情報発信

マレーシアボルネオ島サバ州

ホーム > ボルネオ島サバ州 > 動物 > オランウータン

オランウータンは知能が高い猿|野生の数は年々減っています

オランウータンは世界でボルネオ島とスマトラ島にしか生息しない、最も人間に近い霊長類のひとつです。性格や特徴、握力、環境破壊による個体数の減少について紹介します。

オランウータンは知能が高い猿|野生の数は年々減っています

※上の写真はセピロック・リハビリテーションセンターのオランウータンです。


オランウータンの基礎知識

  • 分類:霊長目ヒト科
  • 学名:ボルネオオランウータン:Pongo pygmaeus、スマトラオランウータン:Pongo abelii
  • 身長:オス1.5m、メス1.2m
  • 体重:オス55~100kg、メス50kg
  • 食べ物:果物がほとんど。木の葉。
  • 寿命:野生では約30年

オランウータンとは?

チンパンジー、ゴリラと並び知的な霊長類に分類され、スマトラオランウータンとボルネオオランウータンがいます。マレー語で「森(hutan)の住人(orang)」を意味し、オラウータンと呼ぶ人もいますが正式には「オランウータン」です。


オランウータンの分布

オランウータンは現在スマトラ島北部とボルネオ島にしか生息していません。昔は東南アジアの島々とインドシナに広く分布していたと考えられています。ボルネオ島(インドネシアのカリマンタンも含む)では昔はほぼ全島に生息していましたが、今は点々と隔離された状態でもう連続した分布域はありません。


ボルネオ島でも一部でしか見られない

マレーシアのボルネオ島サバ州では、キナバタンガン川、ダヌムバレーで遭遇するチャンスが多く、タビンやタワウの山地でもよく目撃されていますが、いずれもサバ州南東部に限られています。


野生のオランウータンは数が少なくなっている

オランウータンの個体数は100年前に比べると約80%も減ったといわれています。最も大きな原因は商業伐採による熱帯雨林の破壊や森林火災で、人間による密猟・密輸も原因となっています。ただ、野生のオランウータンの正確な数は分かりませんが、今すぐに絶滅するといった数ではないです。レッドリストではボルネオオランウータンは絶滅危惧種、スマトラオランウータンは近絶滅種に指定されています。


オランウータンの特徴

オスは大型で野生のものはかなり恐ろしい

オスのオランウータン
野生のオスは凶暴!顔のまわりのひだが大きな特徴です。

オランウータンは大型の猿で尾がなく、一般に赤褐色の毛をしています。大人のオスの場合、身長1.5m、両手を伸ばすと2.4mにもなり、体重は55~100kgもあります。オランウータンのオスの顔の両脇にある張り出し(でっぱり)は「フランジ」と呼ばれています。フランジは強いオスの「しるし」で、弱いオスは何歳になってもフランジが大きくなりません。ヒゲをたくわえのど袋をもち、体毛は長くて荒く赤みをおびています。

オスは15才以上が大人で、性的にも社会的にも生長しきったオスは普段は単独行動をしています。ウオッという大声や遠吠えも大人のオスの特徴です。動物園などのエサやり場に来る人間に慣れているオランウータンからは想像もできませんが、用心深くて人間の気配を察するとすぐに姿を隠してしまい、不用意に近づくと激しく威嚇しバリバリと枝を折って投げつけてきます。野生のオランウータンはかなり恐ろしいです。


メスは子供の面倒をよく見る

メスのオランウータン
メスのオランウータンは、いつも子供を脇に抱えて面倒を見ています。

メスは8才で性成熟に達しますが、大きな個体でも体重は50kgぐらいです。中形から大型の個体のほとんどは子供連れですが、年老いたメスにはヒゲがあるので、もし子供がいなかったり伸びきった乳首が見えなかったりすると、大人に近いオスと区別はつきません。妊娠期間は人間と同じで約9ヶ月、4~6年に1度出産します。人間ほど長生きではありませんが、動物園で最も長生きしたのは50才だそうです。


赤ちゃんオランウータンはかわいい♡

オランウータンの赤ちゃん
赤ん坊のオランウータンは、愛らしい目でキュートです☆顔のまわりの毛が長いのが特徴

オランウータンは0~2才半までが幼児期です。新生児は体重約2kg、人間の赤ちゃんに比べるとわずかに小さいです。小さい赤ちゃんは食事や移動する時も、ほとんど母親に頼り切っています。授乳は2才までですが4才までは常に母親と一緒にいて、移動する時は母親が子供を抱え眠る時も一緒の巣に入ります。幼児期の顔は目の周辺と口全体が明るい色合いで、顔の色の濃い部分とは対照的になっています。顔を取り巻く毛は長くて目立ちます。


甘えん坊の子供時代

2才半~7才までが子供の時期です。顔の特徴は幼児期と変わりませんが、体重は10~30kgになります。子供は歩くのも食事をするのも自分で出来るようになりますが、生活は母親と一緒で母親に捕まって移動することもあります。大きくなると目の届く範囲で1人歩きをしてみたり、他の子供仲間と遊んだりもします。眠るのも母親と一緒ですが、母親が次のお産に入るようになると、子供は自分で巣を作るようになります。そして7~10歳で独立します。


オランウータンの森での生活

オランウータンは知能が高い猿|野生の数は年々減っています
シャングリララサリアリゾートで見られる子供のオランウータン

一生を木の上で過ごす

オランウータンはほとんどの時間を木の上で過ごす樹上性のサルで、低地のフタバガキ林を中心に、山地林低部、川岸林、時には湿地林やマングローブの一部でも生活しています。基本的に単独で生活することが多いですが、小さなグループを作ることもあります。遠くの枝をつかめるよう、腕の長さは足の2倍あります。他の類人猿にある股関節のじん帯がないため、足を大きく開くことができます。自在に動く4つの手足を使って、巧みに木から木へと移動していきます。


生活範囲

オランウータンの原生林での生息密度は1km2当たり1~4頭が普通ですが、2次林や分断されて孤立した森林では1km2当たり1~6頭になった例もあります。オスの方がメスよりも行動範囲が広いです。


なぜ群れを作らずに単独で生活するのか?

オランウータンは猿の仲間では珍しく群れを作らずに単独で行動し、仲間と出会うことすら避けています。群れで行動すると1本の果樹に大量に押し掛けて、あっという間に食べ終わってしまうからです。熱帯雨林には豊富に食べ物があると思いがちですが、実際は果物のなる木は多くありません。大きな体を維持するために争いが起きないよう「孤立することが最も適している」からだと考えられます。


毎日巣を作る?

オランウータンは巣を作る
画像の中央にあるのがオランウータンの巣

オランウータンが他のサルと違うのは眠るための巣を毎日作ることです。種類は選びませんが、小枝がいくつも分かれるような梢の部分を利用して、周囲の枝を折り曲げたりもぎ取った枝を加えたりして直径 1~2mほどのお椀型の「ベッド」を作ります。同じ巣を何度も使うこともありますし、古い巣を修理して利用することもありますが、日没前後15分ぐらいで作り上げてしまいます。

巣に使う枝には葉がついたままなので、枯れると周囲の緑とは対照的で目立つようになります。目が慣れると見つけることはそんなに難しくありません。1頭1頭ほぼ毎日新しい巣を作っているので、たくさん巣があっても多く生息している証拠にはなりません。


オランウータンの食べ物

オランウータンはベジタリアン?

普通は数km2の行動圏内で活動し、主に野生の果実や若い木の葉を食べています。野生のドリアンやイチジクは好物のようで、甲虫の幼虫や昆虫類も食べますがその他の肉類は一切食べません。チンパンジーとは異なり、肉食(脊椎動物を食べること)の観察例はほとんどありません。


驚きの大発見!

以前テレビ番組で面白いオランウータンの行動を紹介していました。もうすぐ出産を控えた妊娠中のメスが地上に降りて、倒れた大木の根の部分に頻繁に現れることが分かってきたのです。一体何を食べていたのでしょうか?オランウータンの去った後、その場所を見てみると「根っこについた泥」を食べていたのが分かりました!樹上生活では塩分などミネラルが不足しがちで、食べていた泥にはミネラルが含まれています。特に妊娠中のメスは赤ちゃんのためにもミネラルが必要です。「泥を食べてそのミネラルを補っているのでは?」と番組で紹介していました。


オランウータンと人間の違い

握力は人間の10倍!

一生を木の上で過ごすオランウータンは、毎日枝から枝へ移動しているので握力が半端ないです!成人男性で約40kg、力士で約100kg。そしてオランウータンは何と「300kg以上!」人間の10倍近くもの握力を持っています。固いヤシの実だって簡単に開けてしまいます。


ものすごい腕力とあごの力!

オランウータンの頭蓋骨
人間とオランウータンの頭蓋骨の比較写真

頭蓋骨は人間の場合はなめらかで軽いつくりですが、オランウータンでは厚くてがっしりしたつくりになっています。大きなあごは非常に強力で、恐ろしいほどのかむ力と破壊力を持っています

人間と同様32本の歯がありますが、長く鋭い犬歯は果物を引き裂き、臼歯(きゅうし)は植物質を粉々に砕きます。染色体は人間23対、オランウータンでは24対、2対は両者に共通で同一のものです。


脳の大きさの違い

オランウータンと人間の最大の違いは脳の大きさです。人間の脳は体重の2.1%であるのに対し、オランウータンでは0.6%に過ぎません。また、人間とオランウータンは近縁で共通の祖先から分化しましたが、オランウータンは樹上生活を選び、人間は地上を歩くことを選び進化していきました。脳の大きさは現在大きな差になって現れています。


オランウータンの数が減る原因

野生のオランウータンは数が少なくなっている

オランウータンの個体数は100年前に比べると約80%も減ったといわれています。現在の個体数は10万頭もいません。


熱帯雨林の減少

最も大きな問題は、木材をとるための商業伐採によるオランウータンの住む熱帯雨林の減少です。木材の多くは日本へも輸出されています。最近は熱帯雨林のパームオイルプランテーションへの転換も多く、違法伐採なども後を絶たず急速に熱帯雨林は減少しています。


火災による生息地の減少

インドネシアの東カリマンタンでは1997年に発生した大規模な森林火災によって、生活圏がずたずたに壊されてしまってオランウータンの個体数は激減しました。小規模な熱帯林の火災は毎年起きていて、それは農民による焼き畑やプランテーションを作るためです。アブラヤシ工場から出る煙もオランウータンの生活を脅かします。


人間による密猟や密輸

残念ながらオランウータンの生活圏は人間によって日々脅かされ、今なお銃で撃ち殺されたり、売買の目的で捕獲されています。森林火災が発生すると、逃げ惑うオランウータンを捕らえたり殺したりして、お金になるからと違法に海外へ輸出されたりしました。オランウータンの赤ん坊や子供はペットとしての違法取引されたこともあります。

特に台湾では、1995年から1999年にかけて、およそ1000頭ものオランウータンが違法に輸入されていたという報告もあるといいます。日本でも、1999年に大阪のペットショップで4頭のオランウータンが売られていたという衝撃的なニュースがありました。
参照元:http://www.wwf.or.jp/activities/2009/01/775230.html


オランウータンを守ろう!

マレーシアの取り組み

オランウータンは知能が高い猿|野生の数は年々減っています
セピロックにあるオランウータン保護区

1964年にマレーシアのサバ州政府がサンダカン近郊にセピロック・オランウータンリハビリテーシィンセンターを開設しました。母親を失ったオランウータンの子供や違法にペットとして飼われていた子供などを保護し、専門のスタッフが子供が自立できる(人間の助けが必要なくなる)までリハビリを行っています。その後熱帯雨林に子供を放しますが、うまく適応できなく元の場所に戻ったりすることもあります。


WWFの取り組み

WWFジャパンはWWFマレーシアがサバ州のキナバタンガン川流域での森林回復計画を支援し植林活動をしました。ここはオランウータンだけでなく、ボルネオゾウやマレーグマ、テングザルなど大型哺乳類の生息地でもあります。


私たちにできること

マレーシアのセピロクでは身近でオランウータンを観察することが出来ます。ただかわいいからといって、食べ物をあげたり手を触ったりしたくなりますが絶対止めましょう!人間の病気からオランウータンを守るだけでなく、オランウータンの病気から私たちを守ることにもなります。近縁ゆえに人間と共通した病気も多く、風邪・肺炎・細菌感染(マラリア、回虫など)・皮膚病にもかかります。精神異常になることもあるそうです。


オランウータンが見られる場所(ボルネオ島サバ州限定)

保護区や動物園

ボルネオ島サバ州で旅行者が簡単にオランウータンに会える場所は、セピロック保護区、シャングリラ・ラサリアリゾート内の保護区、ロッカウィ動物園の3カ所です。日本から直行便で来られるコタキナバル付近でしたら、シャングリラ・ラサリアリゾート内の保護区とロッカウィ動物園がおすすめです。


野生のオランウータン

ボルネオ島サバ州ではキナバタンガン川、ダヌムバレーで遭遇するチャンスが多く、タビンやタワウの山地でもよく目撃されていますが、いずれもサバ州南東部に限られています



関連ページ

更新:2015年11月25日|公開:2009年09月14日|カテゴリ:動物

現在位置:ホーム > ボルネオ島サバ州 > 動物 > オランウータン



ブログの新着記事

ページ上部へ戻る