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ボルネオの熱帯雨林と動物の関係は?森の中で棲み分けています

かつてボルネオ島は、島全体の70%を熱帯雨林で覆われていたと考えられています。しかし今は、人間の手によってかなり森が減少しています。そんな熱帯雨林と動物の関係を考えてみました。

ボルネオの熱帯雨林と動物の関係は?森の中で棲み分けています

昔はボルネオ島の70%は、熱帯雨林のジャングルでした

熱帯雨林であり降水量も多いので、もともとボルネオ島の70%近くは低地混交フタバガキ林で覆われていました。ここには豊富な生き物が住み、哺乳動物も豊かでとてもユニークな種類が多いです。その代表がオランウータンです。ある研究では、哺乳類全体の80%近くが原生林かそれに近い森林に住んでいて、標高600m以下に集中していると言われています。ボルネオ島では特にフタバガキ林に生息していると考えられます。


森林別に動物の種類を見てみよう

海や川の近くの森林に住む動物たち

お腹の大きいテングザル
ポッコリとしたお腹を持つテングザル
リーフモンキー
オレンジ色のリーフモンキー

海沿いや川沿いの森には、カニクイザルやリーフモンキー、リスの仲間が生息しています。大きな川の河口域や湾の奥にはマングローブが発達し、汽水域にはニッパなど汽水林が発達しています。また、内陸の川沿いや湖沼地帯では、淡水湿地林や泥炭湿地林が広がっています。しかし、一日中水に浸っている森林では哺乳動物はほとんど見られなく、わずかにテングザルやカニクイザル、リーフモンキーなどが生息しているだけです。


山の森林に住む動物たち

ヤマツパイ
食虫植物の上にヤマツパイ
キナバルリス
キナバル登山中に見かけるキナバルリス

山地林には高山性で、しかも多くの固有種が生息しています。ヤマツパイ、キナバルリス、カワネズミ、タカネクマネズミ、クロヘミガルスなどで、特に虫を食べる動物、リスやネズミの仲間などの小動物が目立ちます。


同じ森林内ですみ分ける動物たち

熱帯雨林のキャノピーウォーク
熱帯雨林のキャノピーウォーク。まるで空中散歩のように森林を観察できます

熱帯雨林は地面から70mまでの高層マンション?

熱帯多雨林の魅力は、森林の立体構造に見られる生物の多様性です。熱帯雨林は30~70mにもなります。そこは、草本や高木の幼樹、地表性のコケなどが茂る林床部。高木の幹が立ち、空間をつる植物やシダ、ランなどの着生植物が埋めている低層部や中層部。森林の屋根を形づくる樹冠部3つの層に分けて考えることができます。それぞれがお互いに密接に関連し合って、ひとつの森林という生態系を作り上げているのです。


森林内でも地面と樹冠では別世界

また、ひとつの森林内とは言っても、場所により太陽からの光の量や水分、空気に含まれる化学物質の量などの違いがあるので、様々な異なる空間が出来上がっています。森林の年齢、構成する樹種の違い、周囲の植生なども関係してきます。こういったユニークな環境を、そこに最も適した昆虫やカエル、トカゲ、ヤモリ、鳥などの色々な動物たちが生活場所として利用しています。

同じ1本の木であっても、樹冠、幹、林床の違いは、動物にとって全く違った生活圏になっているのです。見かけはひとつの森林ですが、実は様々な生態系の複合体となっていると言えるでしょう。これが熱帯雨林が他の森林にない、生物多様性が豊かだという大きな特徴です。


サルたちの棲み分け

オランウータンは樹上性
オランウータンは一生を木の上で過ごします。主に果実や若い木の葉を食べています。

霊長類の種類を考えてみましょう。オランウータンやテナガザル、リーフモンキーは樹上性のサルで、樹冠部で一生を送ります。カニクイザルは樹上性ですが、地上へも降ります。ブタオザルは地上性ですが、食べ物を探すために頻繁に木に登ります。テングザルは樹上性ですが、マングローブや川岸林にだけ生活しています。

リスたちの棲み分け

では、リスの仲間はどうでしょうか?クリームオオリスは森林の樹冠部で生活し、ミケリスの仲間は樹上も地上も利用しますし、スンダリスの仲間はほとんど地上性です。夜行性のリスであるムササビの仲間にも、同様のすみ分けがあります。また、リスとムササビは同じ生活圏を昼と夜で時間的にすみ分けているグループもあります。

ジャコウネコたちの棲み分け

ボルネオ島のビントロング
イチジクの実が大好物のビントロング。長いしっぽを巧みに使います。

ジャコウネコの仲間もジャワジャコウネコのように地上中心の種類や、タイガーシベットやパームシベット、ハクビシンのように地上も樹上も利用するもの、ビントロングのように完全な樹上生活の生物まで、それぞれすみ分けがあります。


純粋な原生林はもう無いのかも...

アカシアマンギウムの人工林
アカシアマンギウムの人工林です。1980年代に国を挙げて植林しました。

ボルネオの哺乳動物にとって、フタバガキ林は非常に重要な生活場所ですが、同時に人間にとっても利用価値が高い場所でもあります。古くから伐採、ラタンや香木など林産物の採集のために利用されてきました。近年に伐採が進んだ結果、残念ながら純粋な原生林は、既に無くなったと言えるのかもしれません。

現在のボルネオには、一度も人間の手が入っていない森林、伐採や焼畑の跡地などの様々な段階での二次林、アカシアマンギウムなどの人工林、ゴムやヤシの農園、耕作地、長い年月にわたって耕作や放牧による草原などの植生が、モザイク状に分布しているのです。


住む場所を人間に奪われていった動物たち

ゴム林の中
ゴム林の中です。白い幹が美しいですが、動物は見かけませんでした。

対応できなければ絶滅!

もともとボルネオの哺乳動物は、深い低地の森林に住む種類が多かったのですが、開発による森林の減少や環境の変化によって、動物たちもそれに対応して生きていかなければなりませんでした。対応ができないということは、死つまり絶滅を意味します。中にはバナナリスのように人間の環境に適応した動物もいます。庭や村、自然林でも人家近くの小さな森に住むリスで、深い大きな森にはもう侵入しません。私が住むコタキナバルの家の裏でも数匹よく見かけます。


バンテンは本当に良い熱帯雨林にしかいない

バンテンという野生の牛
バンテンはほとんど見ることができません

バンテンという野生の牛は、ボルネオでも深い森林で生活しています。つまり、ボルネオで一番良い状態の森林だということになります。ただ残念なことに、そのような森林は急速に減少し、バンテンに会うことはかなり難しくなっています。唯一ボルネオ中央に位置する「マリアウベイスン自然保護地域」で見かけることができるそうです。ボルネオのサラワク州やブルネイでは絶滅したそうです。


二次林に適応した動物たち

現在、私たちが動物と会う機会に一番恵まれている場所は、伐採されてはいますが、高木も十分残っている二次林です。ただ、頭に入れておいて欲しいのは、多くの動物が観察できるからといって、好んで生活しているのではないということです。そういう二次林に適応したということです。動物たちは、深い良い森林があれば、そこから出てこなかったであろうし、生活圏を狭められやむを得ず、開かれた条件の悪い森林で生き延びているというのが現実なのです。


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更新:2015年09月29日|公開:2013年04月12日|カテゴリ:サバ州

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