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プロテスタント原理主義諸派 @ ボルネオ島サバ州

マレーシアボルネオ島サバ州の宗教、キリスト教プロテスタント原理主義諸派についてです。

キリスト教について

キリスト教と一口に言っても、現地で信仰されているのは、大きく、ローマン・カトリック(カトリック)とプロテスタント、それにプロテスタントの一派ながら、より戒律が厳しい原理主義宗派に分かれる。


プロテスタント原理主義諸派

プロテスタントとは?

プロテスタントは、金銭で罪を購う免罪符や、聖職者の地位の売買など、道徳的に堕落したカトリックに代わって、聖書、特にイエス・キリストの事跡と教義をまとめた新約聖書の教義の原点に立ち返ろうとする運動だった。さて、その原理主義的性格の濃いプロテスタント諸派の中でも、更に輪をかけて原理主義的な宗派も幾つか存在する。


サバ州北部に多い

プロテスタント原理主義諸派は幾つかあるが、サバ州では北部のクダット地区に多い、カダザン・ドゥスン族グループの一支族であるルンゴス Rungus族に特に多い。中でも、SDA(セヴンス・デイズ・アドヴェンティスト:Seventh Days Adventest)が最有力である。この教派が有名なのは日曜日ではなく土曜日を休日としていて、土曜日は教会での礼拝のほかの一切の行動を拒否することだ。


信者の研修生

筆者は1980年代に奥地の農業研修センターで農業指導員を務めていた頃、この宗派の信者の研修生に対しては土曜日の研修を休ませ、その代わりに日曜日に作業させていたものだった。この信者は、宗派の熱心な布教姿勢によるものか、同じキリスト教徒の中でも、知的な者が多かったという印象を持っている。米国発祥のこの宗派は、隣国のフィリピンが米国に領有された1898年以降、その地理的関係の近さから、サバ州北部に伝わった。


特殊な宗派

プロテスタント原理主義諸派は、酒類や煙草は勿論、コーヒー、紅茶もタブーのほか、鱗のない海産物、つまり、鰻(うなぎ)や蛸(たこ)、烏賊(いか)も食してはいけない。だから、大酒飲みの多いカダザン・ドゥスン族の各グループの中では、特殊な存在だ。この宗派が多い村に行くと、村の中の雑貨屋でビールや煙草を売っていないので、どちらも好きな筆者は往生したことがある。こういう戒律は、実はユダヤ教徒が今も守っているそれと非常によく似ている。ユダヤ教も土曜日が休日で、食べ物に関するタブーもほとんど同じなのだ。


3大宗教の成り立ち

キリスト教はカトリックもプロテスタントも、ロシア、ギリシア、ウクライナ、セルビア、ブルガリア、アルメニア、グルジアなどの、ギリシア正教に淵源を持つ東方諸正教、それにエジプトやエティオピアの原始キリスト教の性格を濃く残しているコプト教などを含めて、旧約聖書と新約聖書を聖典としている。イスラム教は、新・旧約聖書に加えてアル・クルアーン(コーラン)の3つを聖典としている。それに対して、ユダヤ教はイエス・キリストを認めていないから、当然新約聖書は外して旧約聖書、それと独自の経典であるタルムードを信奉している。

中東で起こったキリスト教、イスラム教、ユダヤ教の三つの一神教は、旧約聖書を共通の聖典としているわけだが、この旧約聖書の始めに出てくる、神が1週間で宇宙、地球、そして人類などの生物を創ったとする「創世記」の中で、神が第7日目に休んで安息日としたという、その第7日が何曜日なのかという解釈が、キリスト教徒は日曜日、イスラム教徒は金曜日、そしてユダヤ教徒とSDAなどのプロテスタント原理主義宗派は土曜日としているわけだ。それぞれの論拠については、筆者は勉強不足でよくわからない。

SDAなどの原理主義宗派は、主に新約聖書の記述に忠実に従うことを教義としている他のプロテスタント諸宗派と違い、旧約聖書の教義により忠実になろうとしていると言えるだろう。これら米国南部の原理主義諸派が、ダーウィンの進化論を認めず、教科書には全生物は神によってそれぞれ創造され、人類は猿から進化したものではないという創造説も併記するよう求めて、何度も訴訟を起こしていることもよく知られている。


日本にもあるプロテスタント原理主義諸派

日本では20数年前に福岡で、SDAとは別な原理主義宗派の「ものみの塔」の信者夫婦が、その信条に基づいて、交通事故で重症に陥った子供への輸血を拒否して死なせた事件で大いに話題になったものだった。また、筆者がまだ日本にいた頃(1983年以前)、よく電車の中で「神について話をしませんか?」と話しかけてくる米国人がよくいたが、今もいるのかな?こういう連中は別の原理主義教団で、もはやキリスト教とは言えない教義を信奉している「モルモン教徒」が多い。この宗派が19世紀半ばに米国東部から移住して大量に定住した場所が、ユタ州ソルト・レイク・シティーであり、何年かに一度、その信条に基づく一夫多妻婚がマスコミの話題になる。


SIBという宗派

サバ州には、もう一つSIB などの宗派があって、内陸部のムルット族の村の幾つかがその宗派に属しているが、その戒律は SDAと似たり寄ったりで特記すべきことはない。なお、サバ州の SDA 教団は米国の本部からの支援で資金的に裕福であり、州北部のあちこちに教会を建てている。活動も活発で、特に信者が多い北部の貧しい村での水道敷設事業などを、日本の外務省の「草の根無償資金協力事業」にほぼ毎年申請しており、筆者もそれら申請案件の事前調査などで、彼らの活動に何度か関わったことがある。勿論、筆者は入信はしないし、彼らも勧めてこない。


アメリカが発祥の地

プロテスタント原理主義教派は、ほとんど米国深南部を発祥の地としている。米国南部は、19世紀半ばの南北戦争でエイブラハム・リンカーン率いる北部に敗れた歴史的怨念もあって、北部に対抗する気質が濃く残っており、北部に対する劣等感や、この世での不本意な境遇に対する不満などを昇華させようとする無意識の作用もあって、未来に再臨するイエス・キリストの救済を求め、自分は聖書の教えを忠実に守って、天国に召される側に選別されて、あの世では優越的な立場に立ちたいという無意識の願望が強くなるのだろう。

プロテスタントは、その聖書の記述の一言一句を信じて忠実に教えに従おうとするのだが、元々雑多な文書を集めて編集した新約聖書の記述は、4福音書の内容がそれぞれ違っているなど、あちこち矛盾だらけであり、従っていろいろな聖書の記述の解釈もまた千差万別にならざるを得ないために、解釈の違いから多くの分派を生んだ。この点、カール・マルクスなどの理論を巡って四分五烈となり、世界中で仲間内での凄惨で残酷な内ゲバや粛清を繰り返してきた共産主義運動と全く同じだ。

 

著者:三好良一


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更新:2015年09月28日|公開:2009年10月26日|カテゴリ:宗教

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