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割礼とは男性器の包皮を切り取る風習|イスラム教

イスラム教には割礼(かつれい)と訳される通過儀礼があり、男は10歳前後で性器の包皮を切り取るという風習です。イスラム教に改宗する場合も割礼が必要。

イスラム教の割礼

男は10歳で割礼を受ける

イスラム教では、男の子が10歳程度になると、スナッグ Snag と呼ばれ、日本語で割礼(かつれい)と訳される通過儀礼を受けさせられる。これは、陰茎、つまりオチンチンの先っぽの包皮を切り取られることであり、昔は親戚の大人がナイフで乱暴に切り取っていたらしいが、今は病院や診療所で外科医にやってもらう例が多い。男の子たちは1週間ほどは、下着を穿くと先がこすれて痛いので、サロン(腰巻)1枚で過ごすが、それでも歩く時に先がこすれるので、サロンの腰の辺りを持って広げながら、ピョンピョンと飛び跳ねて移動する。

男の子が割礼を受けると、その両親は親戚や友人・知人を自宅に招いて、盛大なご馳走を振る舞って一同で男の子を祝福する。日本では女の子が初潮を迎えると、お赤飯を炊いて祝うのと似たように風習だが、今も初潮祝いはやっているのかな?とにかく、イスラム教社会では女の子の初潮を祝ったり、それに関連する何かの行事を行ったりすることはない。


バンジージャンプの由来

この通過儀礼を受けると、男の子は一人前になったとして大人の男として扱われるようになる・・・と公式な説明では言っているが、実際には体が大きくなるまで、やはりまだ子供扱いだ。少し脱線するが、最近日本でも流行り始めたバンジー・ジャンプも、元々はパプア・ニューギニアに近いニュー・ヘブリディーズ諸島のある部族の通過儀礼だった。やはり男の子が10歳くらいになると、高い木の櫓の上から、足に太い綱を巻かれて突き落とされる。

その綱の長さは子供の体が地面に突撃しないように長さが調整されていて、やはりこの儀礼を通過して、初めて大人の仲間入りをする。筆者は40年ほど前に、この様子を「世界残酷物語」という映画で見ていたので、バンジー・ジャンプの説明を聞いて、ああ、あれかと合点したものだった。


割礼の歴史は古い

割礼という通過儀礼は、ユダヤ人やアラブ人が含まれるセム族の古い風習である。ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の共通の聖典である旧約聖書の中に出てくるセム族の先祖のアブラハムが、息子のイサクを犠牲に捧げよという神の命令に従おうとして、いざ息子を殺そうとした直前に神にストップをかけられたという有名な話の後で、この神を信じるユダヤ人の証として、ユダヤ人の男は全て割礼をすべしと神から命じられたという故事に由来する。

だから、現在もユダヤ教徒は割礼の風習を守っており、初期のカトリックも実行していたようで、その名残のせいだろう、今のフィリピンのカトリック教徒は、生後3日目の男の子に施している。この割礼の風習は、イエス・キリストが割礼に代わって洗礼を受けることで充分だと主張したことで、ユダヤ教徒保守派の怒りを買い、十字架に架けられる事態に発展したほど、昔のセム族にとっては重要な儀礼だったのだ。


アフリカで残る女の割礼

東南アジアでは女性に対しての割礼についての風習はない。女性に割礼を施すのは、今はソマリアやスーダンなどの東アフリカ一帯だけだが、その場合は陰茎がないので陰核、つまりクリトリスを切り取る。そして、極端なケースでは、結婚前の性交を防止するために、大陰唇を糸で縫い合わせたりもする。

厳しい気候の砂漠の遊牧民の生活において、男性的原理が優越するあまりに、女性は繁殖の機能を有し、男性の性的欲望を満たすために存在しているとされていたこと、女性は結婚の際に花婿側に高く売るための財産とも見なされていた(アラビア語、それにフランス語では、「結婚する」と「買う」という言葉は同じである)。

そういう社会で、処女に高い値がつくために、大陰唇を縫い合わせるわけだ。この野蛮な風習は、10年ほど前にソマリア出身の有名モデルが問題提起して、一時世界的に議論されたが、実情は今も変わっていないだろう。


改宗するには割礼が必要

古代のユダヤ人と共通の風俗をよく保存してきたアラブ人は、この割礼を重要としているわけだ。イスラム教徒に改宗するには、「アラーは唯一の神でアリ、ムハマッドは神の使途である」という信仰告白に加えて、この割礼を受けなければならない。

筆者はよく現地人ムスリムから、イスラム教への改宗を勧められたものだが、その気は全くないので、何故かと問われたら、改宗したら酒が飲めず、豚肉が食えなくなるからという理由のほかに、この割礼が痛そうで怖いからと言うと、彼らは大笑いして、改宗話は立ち消えになるのが常だ。


割礼の起源は?

この風習の根源については、筆者は今のところ勉強不足でよくわからない。性病感染の防止という衛生的な観点からの説明がよくなされているが、これは前記の豚肉禁忌が寄生虫による感染を防止するためという説明と大同小異であり、結局は結果論であって説得力はない。要するに、それをした結果がそうなったということを述べているだけの話であり、それはそれが発生した動機や原因とは直接に関係のないことだ。

豚肉禁忌が、食べ物が競合する豚を買うことで共倒れして飢え死にを防ぐという遊牧民の知恵から出ているという説明のように、この割礼も遊牧民の生活の知恵が根源だと思うが、まだ明快な説明に出会ったことがない。多分に、家畜の雄の睾丸を切り取って、雌と交尾する雄の数を限定して繁殖をコントロールする遊牧民の技術である去勢と関係があるように思う。

著者:三好良一


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更新:2015年09月28日|公開:2009年11月02日|カテゴリ:宗教

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