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マレーシアケランタン州でのイスラム教体験

マレー半島北部のケランタン州は、マレーシア国内でも最もイスラム教の戒律が厳しい州です。隣国タイと接していて、イスラム教徒はたまにタイへ息抜きに行くそうです。

ケランタン州でのイスラム教体験

イスラム教勢力が強いケランタン州

1995~97年まで、マレーシアで最もイスラム教の勢力が強い、タイ王国との国境に近いマレー半島東北部のケランタン州に滞在していた時期がある。この州ではアラブ諸国と同様、今でも金曜日が公休日であり、木曜日は今は全休になっているが、当時は半ドンだった。そのために、日曜日を休日としている他の州へ日曜日に連絡して相手の応答が全くないのを訝しく思うなど、随分頓珍漢なことをやったものだった。

女性はスカーフで頭髪を覆い、手首・足首から先は出してはいけないという戒律をほとんどのムスリム女性が守っていた。無論、ムスリム以外の女性は、時にはタンク・トップにミニ・スカートの者もいる。


人口の95%はイスラム教徒

サバ州から初めて西マレーシアのクアラ・ルンプールに行った時、女性のスカーフ姿が目立ち、昔の建築様式もイスラム式なので、中東の国に来たみたいに感じたものだが、人口の95%がムスリムのこのケランタン州は、イスラム色が強いことでは、マレーシアの中でも際立っている。実際、サバ州と比べると、未だに中世的な雰囲気を残しているイスラム教的な陰影のために、ケランタン州の雰囲気は暗い。


タイと国境を接する州

ケランタン州は北端がタイ王国との国境になっている。昔のタイの王朝のシャム王国は国力が強かったので、ケランタン州のスルタンに、毎年貢物を捧げるように強要していた。それは、金を卵の形にして木にぶら下げた珍妙な品物だったが、この詳しい話はおいておく。

タイ王国は時にはケランタン州北部を領有したこともあり、逆にその後にマレーシアを支配したイギリス軍がタイ軍を押し返して、現在のタイ領南部地方まで進出することもあった。こういう歴史の結果、現在のケランタン州内には少数のタイ人が居住して村を作り、仏教寺院を建立したりしているし、逆にタイ南部ではマレー人のイスラム教徒が多数派になっている。


タイとはまるで違う雰囲気

1990年の選挙でイスラム原理主義政党の PAS がケランタンの州政府を制して以来、上記のような数々のイスラム教的な色彩の強い政策を次々に打ち出し、戒律がやかましい緊張感のある社会となった。それが、タイ国境の幅10mの国境の川の橋を渡り、入国審査事務所でパスポート審査を済ませて、一歩タイ領内に踏み込むと、そこは別世界である。ケランタン州では禁止されている酒、賭博、売春が公然とかつ堂々と存在し、直感的に淫靡な雰囲気を感じ取り、一気に緊張が緩んでしまう。

オートバイの運転手はヘルメットを着けていないし、若い女たちは堂々とセクシーな格好をして歩き回っている。一応非合法だが、麻薬も簡単に手に入る。ここで、筆者は生まれてこの方、麻薬とは全く無関係だと大急ぎで補足しておくが、ともあれ、マレーシアでの麻薬汚染のほとんどのルートはタイ国に通じている。国境を越えて違う国に入ると、景観と雰囲気がこうも違うものかと驚嘆させられる。


息抜きにタイへ

イスラム教が社会に及ぼす規律の影響力の強さをまざまざと感じた。実は、ケランタン州のムスリム男性も、州内での息苦しい雰囲気が耐えられなくなると、時々羽根を伸ばしにタイ国内へ入ってくる。国レベルでも、イスラム教や共産主義などに支配されている堅苦しい国には、そこからの逃避所になっている地域があり、中華人民共和国の場合は香港、ソ連の場合はフィンランド、ブルネイ王国の場合はサラワク州リンバンなど、その他いろいろな例があって、息抜きの場所の存在は社会治安上からも必要らしい。


何をお祈りしているの?

イスラム教に関心を持ったのは、現在世界を支配している欧米人の精神的支柱であるキリスト教に取って代わり、現在の第三世界である非欧米世界が主流となり、現在の物質第一主義を覆して精神に重きを置く未来の社会の新しい原理があると期待したからだった。しかし、その期待は、ある日ものの見事に裏切られた。

その時、筆者は知り合いの、毎金曜日の太陽が真上に昇る中天時(午後12時の正午とは限らない)の集団礼拝はおろか、1日5回(夜明け前、中天時、午後、日没後、就寝時)の礼拝も欠かさない敬虔なムスリムに、彼ら信者は礼拝している時に何を考えているのか聞いたのだった。

彼は、こう答えた。お祈りしている時には、自分や家族が健康で豊かな生活ができますように、今やっていることが実現しますようにと、アラーに祈っているのだと。筆者はこれを聞いて、何だ、これは神社での初詣と同じじゃないかと、ひどく失望感を覚えた。それ以来、現在世界を支配しているキリスト教に取って変わって新たな精神的支柱を打ち立てる原理かも知れないという、イスラム教に対する幻想を捨てた。

著者:三好良一


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更新:2015年09月28日|公開:2009年11月02日|カテゴリ:宗教

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