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東南アジアでのイスラム教受容の背景

アラビアから広がったイスラム教が東南アジアへ広がった背景は、商売目的や西洋医学の受容と共にです。しかし今でも昔ながらの呪術師を信じている人が多いです。

東南アジアでのイスラム教

今だに残る原始信仰

インドネシアに限らず、マレーシアでもフィリピンでも、ムスリムたちは表面はイスラム教の生活様式を守っているものの、彼らが本当にイスラム教を心の底から信仰しているとは思えない。彼らは今なお本当に信じているのは先祖伝来の原始信仰なのであり、口では無神論を唱えながら、正月には神社で初詣をする日本人の心性も同じことだ。

ともあれ、主にインドネシアでの見聞と考察を基にして、「ヌサテンガラの闇」という小説の習作を書いて、まだ出版に至っていないが、いずれ本サイトで公開されるだろう。


商売目的で広がったイスラム教

日本での6世紀とされる仏教の受容にしても、それはこれまで信仰してきた神道よりも仏教の方が呪術的に効験がある、俗な言葉で言えば効き目があるとされたからこそ広まったわけだが、東南アジアでのイスラム教の受容についても同じような事情だったろう。

東南アシアで最初にイスラム教を受容したのは15世紀のマラッカ王国であり、それは東西交易の中間拠点という位置的関係もあり、彼らが奉じるイスラム教を受け入れることにより、アラブやインドの商人たちとの交易がより円滑となり、それからもたらされる利益の増加が期待されたからだった。


高度な医学を伝えたイスラム教

しかし、それだけではないだろうと筆者は考える。これは、例えば呪術的な効験ということで言えば、病人を治すのにボモー(呪術師)に頼るより、現地人より遥かに高度な、ユダヤ、ペルシア、インドなどの文明を取り込んだイスラム式医術の方が効果は高かっただろうと容易に推測できる。

昔の医術は外科よりも内科の方が進歩していて、それは漢方薬と同様な薬草の知識が最重要だった。上記の諸文明は、大昔からこの方面の知識を大量に蓄えていたはずだ。その薬草を使った医療と、イスラム教式のお祈りを組み合わせて治療することにより、顕著な効果が見られたとすれば、イスラム教自体にそういう神秘的な力があると、当時の人々が考えたとしても不思議はない。


イスラム教が届かなかった日本

同じことは、日本での仏教伝来の時にも起こっただろう。想像を膨らませれば、もし西洋人のアジア進出が100年ほど遅れて、結局はフィリピン止まりになったイスラム教の伝来が、もし日本にまで来ていたとしたら、今の日本はイスラム教国家になってしまっていたかも知れない。

日本は地理的にユーラシア大陸の東端にあって、世界の大勢から遠いために、外の文明が到達するのに時間がかかり、ユダヤ人もイスラム教も近代まで来なかったが、中国にはそれらが陸伝いに到達しており、今も少数ながら、ユダヤ人もイスラム教徒もいる。そのイスラム教徒とは、土着の中国人が、モンゴル族の元の時代に大量改宗した人たちの子孫で、回(ホイ)族と呼ばれて、内モンゴル自治区の近くに、民族自治区を持っている。


西洋近代医学よりも呪術師を信頼

東南アジアの人たちはこういう呪術的な効験を期待して、イスラム教を受容したというのが実情だろう。だから、彼らは表面的にはイスラム的生活様式を守っているものの、精神の根底にはまだアニミズム的心性を宿しており、今でも西洋近代医学よりも呪術師を信頼して頼るのだ。

イスラム教の教義や哲学に関しても、それほど深い理解をしているとは思われない。だいたい、これまで見てきたように、イスラム教の教義や哲学自体が、アラーの要求に応えるように人間がいかに敬虔になるべきか、率直に言えばいかに完璧な神の奴隷としての生活を送り、生涯を過ごすかという点を強調しているだけのように思われる。

アル・クルアーン(コーラン)に、地獄とは恐ろしい所だ、天国とは素晴らしい所だ、地獄に行きたくなかったら、アラーの教え(要求)を完璧に忠実に実行せよといくら声高に脅迫したところで、東南アジアのムスリムはあまり信じていないのだろう。

宗教は打算的である

自分の周りの社会が、自発的にせよ強制されてにせよ、イスラム教徒で占められている状況の中で、イスラム教徒でいる状況と、棄教した場合における状況を比較した場合に、やはりイスラム教徒でいる場合がいろいろな利益があると判断して、あまり深く物事を考えずに、先祖伝来の教えを守っているだけだと筆者は考える。

なお、宗教の持続がこういう打算によって成り立っているのは、何もイスラム教に限らず、キリスト教や仏教、その他全ての宗教について言えることだ。

著者:三好良一


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更新:2015年09月28日|公開:2009年11月02日|カテゴリ:宗教

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