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バジャウ族(海で生活する人々)漂海民バジャウの物語を読んで

「バジャウ族|Bajau」とは、日本のテレビ番組(オードリーの春日さんが取材)でも取り上げられた海の上で生活する民族です。フィリピンのスールー諸島に起源を持ち、ボルネオ島北部のサバ州にも暮らしています。

バジャウ族(海で生活する人々)漂海民バジャウの物語を読んで

バジャウ族とは?

フィリピン南部のスールー諸島にある「タウィタウィ島」を中心に暮らしている「サマ・ディ・ラウット|Sama di Laut」訳して「海のサマ」と呼ばれる人々のことを指します。東ボルネオや東インドネシアでのサマに対しての自称および他称が「バジャウ族|Bajau」で、今ではバジャウの方が一般的に使われるようになりました。


多くがイスラム教徒

昔マレー半島にマラッカ王国が栄えた時、インド商人によってもたらされた「イスラム教」はフィリピン南部にも伝わり、その影響でバジャウ族のほとんどはイスラム教徒になりました。キリスト教徒の多いフィリピンですが、南部ミンダナオ島はイスラム教徒が多い島として有名です。余談ですがフィリピンを統治していたスペインによってイスラム教が止まらなければ、今日本にも多くのイスラム教徒がいたのかもしれません。


漂海民と呼ばれる由縁は?

現在見ることのできるバジャウ族の集落は、海岸沿いの珊瑚礁の浅瀬に杭を打ち込み、その杭の上に家を建てる人々がほとんどです。昔は舟の中で生活のすべてを行っていて「家舟生活」していました。舟には小さな小屋のような家を造り、中には台所もあり食事は舟の中で、洗濯物も舟の上に竿を張ってそこに干し、夜は舟の中で眠るという海に依存する生活です。

生活の中心は「タウィタウィ諸島」にある小さな島々を行き来し、陸上生活で例えるなら狩猟採集民として魚を追いつつ「漂流的」な生活をしていました。そこから「漂海民バジャウ族」というあだ名のようなものが付いたということです。海のど真ん中に「杭上家屋」を作って生活している人はまだいますが、舟だけで生活する人は今ではほとんどいなくなりました。


漁業民

バジャウ漁民は季節的周期に合わせて魚群を追い、男性だけで数週間から1ヶ月も長い航海をすることもありました。まだ国境の無い時代マレーシアのボルネオ島だけでなく、インドネシア東部やスラウェシ、遠くはミャンマー沖にまで住みついた人もいました。


フィリピン南部で起こった内戦

1970年代に入るとマニラ政府からの分離独立を巡るミンダナオ島での内線が勃発し、その混乱によって多くのバジャウ族はボルネオ島やスラウェシ島に逃れたか、陸上に住むムスリムの文化に取り込まれていきました。その中で犠牲になった人もいます。

その後はスールー諸島に外来者がたくさん入るようになり、建築資材に適する樹木はすべて切り倒され、建築用の海砂が採掘され、陸地の浸食が進み環境破壊が進みました。今の我々には十分美しいと思えるスールー諸島ですが、1960年以前を知っている人はとても残念な気持ちになるそうです。


ボルネオ島サバ州のバジャウ族

バジャウ族(海で生活する人々)漂海民バジャウの物語を読んで
海の上に柱を立てて家を建てます

フィリピンスールー諸島に近いことから、ボルネオ島東部「センポルナ|Semporna」の町へ行くと海に広がるバジャウ族の水上家屋が見ることができます。コタキナバル周辺ではガヤ島やタンジュンアル地区、スンブラン地区で水上家屋が見ることができます。

多くは国ができる以前から住みついたバジャウ族の子孫で、フィリピン内戦の難を逃れて住みついた人々もたくさんいます。コタキナバル中心地にある「フィリピーノマーケット」で働いている、肌が黒く威勢のいい人々はバジャウ族が多いです。海という厳しい環境下で生活している彼らは、サバ州の農耕民族ドゥスン族のおとなしい性格とは異なり、根は優しいですが荒っぽい性格をしています。


漂海民バジャウ族の物語

今回はH.アルモ・ニモ著「漂海民バジャウの物語 - 人類学者が暮らしたフィリピンスールー諸島」を参考に、自分の経験を交えながら紹介しました。1960年代に著者が旅した美しいスールーの描写が素晴らしい本です。興味のある方はぜひ読んでみてください。少数民族の悲しい行く末が切ないです...

参考:H.アルモ・ニモ『漂海民バジャウの物語』(現代書館、2001年)
漂海民バジャウの物語―人類学者が暮らしたフィリピン・スールー諸島

それでは、また。


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更新:2015年10月07日|公開:2014年10月28日|カテゴリ:ブログ|タグ:ニュース

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